高1の1学期が「大学受験の基礎」を決める──その重要性を、親子で理解できているか

高校受験が終わって、合格の喜びに浸っている中3生とその保護者。でも、実は高校入学からの最初の3ヶ月、つまり高1の1学期が、3年後の大学受験を大きく左右するという事実を、どれだけの人が理解しているでしょうか。「高校に入ってから考えればいい」「まだ3年も先の話」──そう思っている親子は、意外と多いです。

この認識のズレが生まれるのは、高校受験と大学受験の構造が全く違うからだと思います。高校受験は、中3の1年間頑張れば何とかなりました。でも大学受験は違う。高1の最初でつまずくと、そこから3年間ずっと引きずることになります。高校の授業は、一度置いていかれると追いつくのが本当に難しい。中学のように「夏休みに取り戻す」ということが、ほとんどできません。

高1の夏休みに相談に来た生徒がいました。「1学期の数学、全然わからなくて。もう諦めたほうがいいですかね」と。話を聞くと、4月の最初の授業から既についていけず、5月には完全に理解を諦めていたと。「先生の言ってることが呪文に聞こえて」と。定期テストは赤点ギリギリ。このままでは進級も危うい状態でした。

私は、高1の1学期が大学受験の基礎を決める理由は、主に3つあると考えています。1つ目は、高校の授業スピードです。中学3年分の内容を、高1の半年で復習して、そこから先は全て新しい内容。数学なら、因数分解や二次関数を4月にさらっと復習して、5月にはもう数学Ⅰの新単元。英語も、中学英文法を前提に、いきなり高校レベルの長文が始まる。ここでつまずくと、後がありません。

2つ目は、学習習慣の確立です。高校では、予習が前提の授業が多い。中学のように「授業を聞いて、復習すればいい」では通用しない。高1の1学期で「予習→授業→復習」のサイクルを確立できないと、2学期以降ずっと苦労します。逆に、最初の3ヶ月でこのサイクルを体に染み込ませられれば、3年間それが続きます。

3つ目は、大学受験は積み重ねだからです。高1でやる数学Ⅰは、高2の数学Ⅱの土台になり、高3の数学Ⅲにつながる。英文法も、高1で習う仮定法や関係詞は、高2・高3の長文読解の基礎になる。高1の内容が抜けていると、高2・高3の内容も理解できない。そして、高2・高3になってから「高1の内容をやり直す」時間は、ほとんどありません。

その生徒には「夏休みの間、高1の1学期の内容を最初からやり直そう。教科書の例題を全部解いて、わからないところは一つずつ潰していく。2学期が始まるまでに、何とか追いつこう」と提案しました。結局、夏休み1ヶ月間、毎日塾に来て復習を続けて、2学期からは何とか授業についていけるようになりました。でも本人は「4月の時点で、ちゃんと理解しておけばよかった」と何度も言っていました。

ここで重要なのは、親子でこの認識を共有できているかどうかです。本人が「高1の最初が大事」と理解していても、親が「まだ高1だから」と軽く考えていると、サポートがずれる。逆に、親だけが焦っていても、本人に危機感がなければ動かない。親子で同じ認識を持っておく必要があります。

高1の1学期をスムーズに乗り切るために、学習塾が一つの選択肢になります。ただし、「高校に入ったから塾」ではなく、「高1の最初でつまずかないため」という明確な目的を持って通うことが大事です。予習のやり方を教わる、わからないところをすぐ質問できる、学習計画を一緒に立てる──そういう使い方ができれば、塾は高校生活の強い味方になります。

ただ、塾に通うかどうかは、入学してから判断してもいいと思います。まずは自分でやってみる。授業についていけるか、予習・復習ができるか。それを1ヶ月試してみて、「これは一人じゃ厳しい」と思ったら、そのとき塾を検討する。焦って入学前から決める必要はありません。

大事なのは、親子で「高1の1学期が大学受験の基礎を決める」という認識を共有しておくことです。その上で、本人が自分で考えて、必要なら塾に通う、必要なければ独学でやる。その判断を、本人が主体的にできる環境を作ることです。

高校受験が終わって、一息つきたい気持ちはよくわかります。でも、高校生活は受験が終わった瞬間から、もう次のステージが始まっています。特に高1の1学期。ここでのスタートが、3年後の進路を大きく左右します。

当塾では、高1の1学期を乗り切るための学習サポートを行っています。予習・復習の習慣づくり、わからないところの個別指導、大学受験を見据えた学習計画──一人ひとりに合わせて、一緒にスタートを切っていきましょう。

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