周りが塾に通い始める、我が子も焦り出す──「みんな行ってる」は理由にならない

中2のこの時期、保護者から「周りの子が塾に通い始めたらしくて、うちの子も急に『塾行きたい』って言い出したんです」という相談をよく受けます。今まで部活や趣味に夢中で、勉強のことはあまり口にしなかった子が、中3になる直前に突然「友達が塾行ってるから、自分も行かないとヤバい」と焦り出す。親としては「やっと本気になってくれた」と喜ぶべきなのか、それとも「ただ周りに流されてるだけ」と心配すべきなのか、判断に迷う。

この焦りが生まれるのは、周りが動き出すと「自分だけ取り残される」という不安を感じるからです。部活の友達が「最近、塾通い始めたんだ」と言う。クラスで「どこの塾行ってる?」という会話が増える。SNSで「今日も塾で勉強頑張った」という投稿を見る。そうすると、今まで気にしていなかったのに、急に「自分も何かしなきゃ」という気持ちが湧いてくる。

中2の生徒がこのタイミングで親と一緒に相談に来たことがあります。「友達が最近、塾に通い始めて。自分も行かないとマズいと思って」と本人。保護者も「周りが行き始めたなら、うちも遅れないようにと思って」と。ただ、話を聞いていくと、志望校もまだ決まっていない、何を勉強したいかも明確じゃない。「受験生になるんだからとりあえず塾に行けば安心」という感じでした。

私は、周りが塾に通い始めたからといって、焦って塾を決める必要はないと考えています。むしろ、「なぜ塾に行きたいのか」「塾で何を解決したいのか」を考えずに入ると、続かないことが多い。週2回通っても、ただ座っているだけ。宿題も適当にやって、結局身につかない。月謝だけ払って、時間だけが過ぎていく。そういうケースを、私はたくさん見てきました。

その親子には「まず、何のために塾に行きたいのか、本人と話してみてください。学校の授業についていけないから? 受験に向けて先取りしたいから? それとも、ただ友達が行ってるから?」と聞きました。本人は少し考えて「正直、友達が行ってるから焦っただけかもしれないです」と。「じゃあ、本当に今、塾が必要かどうか、もう一度考えてみよう」と。

塾が必要な人もいます。学校の授業だけでは理解が追いつかない、自分一人では勉強の習慣がつかない、受験に向けて計画的に進めたい──そういう明確な目的があるなら、塾は有効です。でも、「みんな行ってるから」「なんとなく不安だから」という理由だけで通うと、お金と時間の無駄になることも多い。

親としてできることは、まず子どもと話す時間を作ることです。「なぜ塾に行きたいと思ったの?」「今、何に困ってる?」「塾に行ったら、何が変わると思う?」──そういう質問を投げかけて、本人の考えを聞く。その上で、塾が本当に必要なのか、それとも他の方法でも解決できるのか、一緒に考える。

例えば、「勉強の習慣がつかない」という悩みなら、塾に通わなくても、家で毎日30分だけ勉強する時間を作ることから始めてもいい。「苦手科目がわからない」という悩みなら、学校の先生に質問しに行く、という選択肢もある。塾だけが正解じゃありません。

それと、親が焦って「みんな行ってるなら、うちも」と押し付けるのは逆効果です。子どもが自分で納得して「塾に行きたい」と言うなら応援すればいい。でも、親が焦って無理やり通わせても、本人にやる気がなければ意味がない。最終的には、本人が決めることです。

ただし、完全に放置するのも違います。「行きたいなら行けば」「自分で決めなさい」と突き放すんじゃなくて、一緒に考える。選択肢を提示する。「塾に行くなら、どういう塾がいいと思う?」「塾以外にも、こういう方法があるけど、どう思う?」と。親は決定者じゃなくて、相談相手です。

周りが塾に通い始めたからといって、焦る必要はありません。大事なのは、「みんな行ってるから」じゃなくて、「自分に必要だから」という理由で動くことです。本人が納得して決めた選択なら、塾でも、独学でも、きっとうまくいきます。

当塾では、入塾を検討している生徒と保護者に、まず「何のために塾に来たいのか」を一緒に考える時間を作っています。焦って決める必要はありません。納得できる選択を、一緒に探しましょう。

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