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受験期間中、特に共通テスト後から国公立の2次試験、合格発表までの1ヶ月半ほど、保護者から「子どもに何も言えなくて、ストレスが溜まります」という相談をよく受けます。試験の結果が気になる、勉強してるのか心配、でも声をかけたら機嫌を損ねる。何も言わずに見守るのが正解だとわかっていても、実際に黙っているのは想像以上に辛い──高3生や中3生の保護者にとって、この時期は親としての我慢が最も試される時期かもしれません。
この我慢が必要な理由は、受験生本人が極限まで張り詰めているからです。試験が終わるたびに結果を気にして、次の試験に向けて気持ちを立て直して、また緊張して。その繰り返しの中で、親から「どうだった?」「次は大丈夫?」と聞かれると、善意だとわかっていてもプレッシャーになる。親が心配すればするほど、子どもは追い詰められていきます。
先月、私立入試が連続していた時期に、保護者から電話がかかってきました。「昨日の試験の後、どうだったか聞いたら、『もう聞かないで』って部屋に引きこもっちゃって。心配で声をかけたら『ほっといて』って。親として何もできないのが辛いんです」と。気持ちは本当によくわかります。でも、この時期は「何も言わない」ことが、最大の支えになります。
私は、受験終了までの親の我慢は、具体的にいくつかの場面で必要になると考えています。1つ目は、試験前日と当日。「頑張って」「リラックスして」「大丈夫」といった励ましの言葉は、全てプレッシャーになります。いつも通り「行ってらっしゃい」だけでいい。2つ目は、試験後。「どうだった?」「できた?」と聞きたくなりますが、絶対に聞かない。本人から話してくるまで待つ。これが一番難しい我慢です。
3つ目は、勉強時間が減っているように見える時。試験が続くと疲れて、家では休んでいる時間が増える。「勉強しなくていいの?」と言いたくなりますが、ぐっとこらえる。本人は本人なりに考えています。4つ目は、不合格の知らせを受けた時。「次があるよ」「大丈夫」と励ましたくなりますが、今はそっとしておく。落ち込む時間も必要です。
その保護者には「試験後は何も聞かない、どんなに気になっても我慢してください。ご飯だけ作って、いつも通り家にいる。それだけで十分です。お子さんが話したくなったら、その時だけ聞いてあげてください」と伝えました。数日後、「我慢するの本当に辛いですけど、何も言わないようにしたら、向こうから少し話してくれるようになりました」と報告がありました。
親としての我慢が辛いときは、自分なりのストレス発散方法を持つことも大事です。友人に愚痴を聞いてもらう、散歩に出る、趣味に没頭する。子どもの前では我慢するけれど、他の場所で発散する。そうしないと、親自身が潰れてしまいます。
ただし、我慢にも限界があります。明らかに子どもの様子がおかしい──ご飯を全く食べない、一睡もしていない、自傷的な言動がある──そういう場合は、我慢せずに声をかけるべきです。「心配してる」「辛かったら話して」と。我慢すべきは「過度な干渉」であって、「必要な関わり」まで我慢する必要はありません。
受験終了まで、あと少しです。親として何もしてあげられないもどかしさ、本当によくわかります。でも、その「何もしない」という選択が、実は子どもにとって一番の支えになっています。言いたいことを飲み込む、聞きたいことを我慢する。それができれば、子どもは自分のペースで最後まで走り切れます。
当塾では、受験生本人だけでなく、保護者の方の不安やストレスにも寄り添いながらサポートしています。辛いときは、いつでも相談してください。






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