難関国立大学の2次試験は、共通テストと違って記述式が中心です。「得意科目で点を稼ぐ」という戦略をよく耳にしますが、実際にそれを実行して合格した高3生を見ていると、単に「得意科目で高得点を取る」というより、「得意科目を信じて、苦手科目の失点を最小限に抑える」という考え方のほうが現実的だと感じます。完璧を目指すんじゃなくて、バランスを取る。それが合格につながる戦略です。
得意科目を活かすという発想自体は間違っていません。ただ、多くの受験生が勘違いしやすいのは、「得意科目で満点近く取れば、苦手科目が多少悪くても大丈夫」と思ってしまうことです。実際には、得意科目で8割取れても、苦手科目が3割だったら合格最低点には届かない。逆に、得意科目が7割、苦手科目が5割なら、合格できることもある。大事なのは、得意科目を伸ばすことより、苦手科目で最低限の点数を確保することです。
数年前、難関国立大学の工学部に合格した生徒がいました。その生徒は数学が得意で、過去問では8割から9割取れていました。一方、英語は苦手で、6割がやっとという状態。共通テスト後、本人は「2次試験は数学で稼ぐから、英語はそこそこでいいかな」と言っていました。でも私は、それでは危ういと感じていました。
その生徒に過去3年分の合格最低点を見せて、「数学が8割、英語が5割だったら、合計で何点?」と計算させました。結果は、合格最低点ギリギリ。「もし本番で数学が7割だったら?」と聞くと、不合格ラインまで落ちる計算になりました。「得意科目に頼りすぎると、本番で少し崩れただけで終わる。それより、英語を6割まで上げておけば、数学が7割でも合格できる。どっちが現実的?」と。
それからその生徒は、数学の演習時間を減らして、英語の長文読解と英作文に時間を割くようにしました。「数学はもう十分できてるから、今は英語で最低限取れるようにする」と。本番では、数学は予想より少し低い7割ちょっと、でも英語は6割後半取れて、無事に合格しました。本人は「数学だけ頑張ってたら、たぶん落ちてました」と話していました。
私は、得意科目を活かす戦略というのは、「得意科目を信じて、その分苦手科目に時間を使う」ことだと考えています。得意科目はもう十分できる。だから、直前期に時間をかけすぎなくていい。その代わり、苦手科目で最低限の点数を取れるように対策する。完璧にする必要はない、ただ最低ラインを守る。それが現実的な戦略です。
ただし、これは「得意科目を放置していい」という意味ではありません。定期的に過去問を解いて、感覚が鈍らないようにする。直前期に新しいことをやる必要はないけれど、今までやってきたことの確認は必要です。得意科目を維持しながら、苦手科目を底上げする。そのバランスが大事です。
もう一つ、合格者に共通していたのは、「本番で得意科目が崩れても動じない」ということです。どんなに得意な科目でも、本番では予想外の問題が出たり、ケアレスミスをしたりします。そのときに焦って、次の科目まで引きずってしまうと、全体が崩れる。でも「得意科目だから、多少ミスしても他の人よりは取れてるはず」と思えれば、気持ちが安定します。得意科目を信じるというのは、こういうことだと思います。
難関国立の2次試験は、満点を取る試験ではありません。合格最低点を超える試験です。だから、得意科目で満点を目指すより、全科目でバランスよく点を取る。その考え方のほうが、結果的には合格に近づきます。
当塾では、2次試験の戦略を一人ひとりの得意・苦手に合わせて一緒に考えています。得意科目に頼りすぎず、現実的な戦略で本番に臨みましょう。






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