共通テストが近づいてくると、よく受験生が「昨日、本屋で新しい参考書買っちゃいました」と報告してきます。今までやってきた参考書があるのに、本屋でたまたま目にした「共通テスト直前対策」みたいなタイトルの本を、つい買ってしまう。家に帰って冷静になると「またやってしまった」と後悔するけれど、次の週末にはまた本屋に行って、別の参考書を手に取っている。そんな悪循環に陥る受験生は、実は珍しくありません。
この行動が起きるのは、不安だからです。「今までやってきたことで本当に大丈夫なのか」「何か見落としてることがあるんじゃないか」──そんな気持ちが強くなってくると、新しい参考書が「これをやれば安心できるかもしれない」と思えてしまう。本屋に並んでいる「直前対策」「この1冊で完璧」みたいなキャッチコピーが、まるで救いの手のように見えるんです。
「また参考書買っちゃいました。これで今月3冊目です」と報告してきた生徒に本を見せてもらうと、共通テスト対策の英語、数学、国語の薄い問題集。どれも「直前総まとめ」みたいなタイトルがついています。「やったほうがいいですかね」と聞かれましたが、私は少し考えてから「やらなくていいと思う」と答えました。
私は、直前期に新しい参考書に手を出すのは、ほとんどの場合マイナスだと考えています。理由は単純で、今から新しいものを1冊やり切る時間はないし、中途半端にやると「これもやり残した」という不安が増えるだけだからです。それより、今まで使ってきた参考書や問題集を見直したほうが、ずっと効果的です。見慣れた問題、解いたことのある問題をもう一度確認する。そのほうが、自信にもつながります。
その生徒には「君、この3ヶ月で何周も解いてきた問題集あるよね。それをもう1周やったほうがいいと思う。新しい問題を解くより、解けるようになった問題を確認して、自分がちゃんと積み上げてきたって実感するほうが、今は大事」と伝えました。本人は「そうですよね……でも本屋行くと、つい不安になっちゃって」と。気持ちはよくわかります。私も受験生の頃、同じことをしていました。
新しい参考書を買いたくなるのは、不安の裏返しです。でも、その不安は「何もやってこなかった」から生まれているわけじゃない。むしろ「ここまでやってきたからこそ、これで足りるのか」と心配になるんです。真面目に取り組んできた人ほど、直前期に不安になる。それは当たり前のことです。
ただ、その不安に流されて新しいものに手を出すと、今まで積み上げてきたものへの信頼が揺らいでしまう。本当に信じるべきは、派手なキャッチコピーの新刊ではなく、自分が何度も繰り返してきた参考書です。ボロボロになった単語帳、何周もした問題集。そこに、あなたの努力が詰まっています。
もし本屋に行きたくなったら、今持っている参考書をもう1周する。新しいものを買うより、ずっと安心できるはずです。
当塾では、直前期の不安とどう向き合うかも含めて、受験生をサポートしています。焦らず、今まで積み上げてきたものを信じていきましょう。






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