「志望校を下げようかと思っている」。この言葉を口にするとき、多くの受験生は罪悪感や敗北感を抱えています。まるで自分が「逃げた」かのような気持ちになるのです。
保護者の方も同様です。「もう少し頑張らせるべきか」「ここで下げたら後悔するのでは」と悩まれる方は少なくありません。
しかし、結論から言えば、志望校を下げることは「逃げ」ではありません。それは、現実を見据えた上での「戦略的な選択」です。
【なぜ「志望校を下げる=逃げ」と感じてしまうのか】
志望校変更に抵抗を感じる背景には、いくつかの心理があります。
1. 「高い目標を持つことが正しい」という価値観 「目標は高く持て」「挑戦しなければ成長しない」。こうした言葉を繰り返し聞いてきた私たちは、目標を下げることを「後ろ向き」だと感じやすくなっています。
2. 周囲の目が気になる 「あの子、志望校下げたらしいよ」と言われることへの恐れ。友達や先生、親戚の目が気になり、本当の気持ちを言い出せないこともあります。
3. これまでの努力が無駄になる気がする 高い目標に向かって頑張ってきた時間を否定するようで、志望校を変えることに抵抗を感じるのは自然なことです。
【「志望校を下げる」という選択が正しい場合】
志望校変更が適切な判断となるケースは、実際には多くあります。
1. 合格可能性が著しく低い場合 模試でE判定が続き、残り時間を考えても逆転が現実的でない場合、志望校に固執することで「全落ち」のリスクが高まります。確実に合格できる学校を選ぶことは、賢明な判断です。
2. 志望理由が「偏差値」だけだった場合 「とりあえず偏差値が高いから」という理由で選んだ志望校なら、改めて「本当に行きたい学校はどこか」を考え直す良い機会です。偏差値が少し低くても、学びたいことが学べる学校の方が、充実した学生生活を送れます。
3. 心身の健康に影響が出ている場合 過度なプレッシャーで眠れない、食欲がない、勉強が手につかない。こうした状態が続くなら、志望校を見直すことで気持ちが楽になり、かえって良い結果につながることもあります。
【志望校を下げても失われないもの】
志望校を変更しても、これまでの努力は決して無駄にはなりません。
1. 身についた学力 高い目標に向かって勉強してきた過程で得た学力は、そのまま残ります。志望校を変えても、培った力は消えません。むしろ、その学力があるからこそ、新しい志望校では上位での合格が狙えるのです。
2. 努力する習慣 受験勉強で身につけた「毎日コツコツ取り組む習慣」は、一生の財産です。これは志望校がどこであれ、変わりません。
3. 自分と向き合った経験 自分の実力と向き合い、現実的な判断を下すこと。これは大人になっても必要な力です。今回の経験は、将来必ず活きてきます。
【「正しい志望校変更」の考え方】
志望校を変更する際に大切なのは、「逃げ」ではなく「選択」として捉えることです。
1. 消去法ではなく、積極的な理由を見つける 「第一志望が無理だから仕方なく」ではなく、「この学校にはこんな魅力がある」という理由を探しましょう。
部活動が盛ん、特定の分野に強い、通いやすい立地、校風が自分に合っているなど、その学校だからこその魅力は必ずあります。
2. 入学後の自分をイメージする 合格がゴールではありません。大切なのは、入学後にどんな学生生活を送るかです。
無理して入った学校で苦しむより、自分に合った学校でのびのび過ごす方が、その後の成長につながります。
3. 「下げる」ではなく「変える」と考える 言葉の持つ力は大きいものです。「志望校を下げる」と言うとネガティブに聞こえますが、「志望校を変える」「志望校を見直す」と言い換えるだけで、印象は変わります。
これは言葉遊びではありません。自分自身の選択を肯定的に捉えることが、前向きに進むために必要なのです。
【避けるべき志望校変更のパターン】
一方で、安易な志望校変更は避けるべきです。
1. 一時的な落ち込みで決めてしまう 模試の結果が悪かった直後、テストで失敗した直後など、感情的になっているときに重要な決断をするのは危険です。少し時間を置いて、冷静に考えましょう。
2. 周囲の意見に流される 「先生に言われたから」「親が勧めるから」という理由だけで決めると、後悔しやすくなります。最終的には、自分自身で納得して決めることが大切です。
3. まだ時間があるのに諦める 受験まで十分な時間が残っているのに、「どうせ無理」と早々に諦めてしまうのはもったいないことです。本当に志望校変更が必要かどうか、信頼できる人に相談してみましょう。
【保護者の方へ ― お子さんの決断を支えるために】
お子さんが「志望校を下げたい」と言ってきたとき、どう対応すべきでしょうか。
1. まず話を聞く 頭ごなしに否定せず、なぜそう思うのか、じっくり話を聞いてください。本人なりの理由があるはずです。
2. 感情的にならない 「せっかくここまで頑張ったのに」「もう少し頑張れば」という言葉は、お子さんを追い詰めます。冷静に、一緒に考える姿勢を見せましょう。
3. 最終決定は本人に委ねる 進路は本人の人生です。情報提供やアドバイスはしつつも、最終的な決断は本人に任せることで、どんな結果になっても納得できます。
【どの学校に行くかより、そこで何をするか】
受験生にとって、志望校選びは人生の一大事に感じられるかもしれません。しかし、長い人生で見れば、「どの学校に行ったか」より「そこで何をしたか」の方がはるかに重要です。
第一志望に合格しても、入学後に燃え尽きてしまう人もいます。逆に、第二志望、第三志望の学校で素晴らしい出会いや経験を得て、大きく成長する人もいます。
志望校を変更することは、終わりではなく新しいスタートです。その選択を前向きに捉え、次の一歩を踏み出してください。
ポラリス学習塾では、生徒一人ひとりの状況に合わせた進路相談を行っています。志望校選びに迷っている方、変更を考えている方も、お気軽にご相談ください。






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