過去問を何回も解く──それは自信のため? それとも不安のため?

中3生から「過去問、もう3回解いたんですけど、まだ不安で。もう1回解いたほうがいいですか」という相談をよく受けます。公立高校の過去問を何度も繰り返す。答えは覚えてしまっているけれど、それでも解き直す。「これで大丈夫」という安心が得られないまま、同じ問題を4回目、5回目と解いてしまう。周りを見ると、色々な年度の過去問に手を出している人もいる。自分のやり方が正しいのか、わからない。

過去問を繰り返し解くこと自体は悪いことじゃありません。でも、「なぜ解いているのか」を一度立ち止まって考えたほうがいいと思います。自信をつけるために解いているのか、不安を消すために解いているのか。この2つは、似ているようで全く違います。

先月、公立高校志望の中3生が「過去問5年分を3周したんですけど、まだ不安なんです。もう1周したほうがいいですか」と相談に来ました。過去問を見せてもらうと、5年分とも8割以上取れている。3周目も同じくらいの点数。「これだけ取れてるなら、もう十分じゃない?」と聞くと、「でも本番で違う問題が出たら解けない気がして」と。

私は、過去問を繰り返す目的が「不安を消すこと」になっているなら、何回解いても意味がないと考えています。なぜなら、不安は何回解いても消えないからです。5年分を3周して8割取れている。それでも不安。じゃあ、4周したら安心できるのか。5周したら? 答えは、たぶんNoです。「もう1回」を繰り返しているうちに、入試当日を迎えてしまう。

その生徒には「君の場合、もう過去問は十分。これ以上同じ問題を解いても、点数は上がらないし、不安も消えない。それより、過去問で間違えた問題の類題を探して解くほうがいい。新しい問題に挑戦することで、『知らない問題でも解ける』という自信がつくから」と伝えました。

過去問を繰り返すのが「自信のため」なら、効果があります。例えば、1周目は6割しか取れなかったけど、2周目で7割、3周目で8割取れるようになった。これは、自分が成長している証拠です。「できるようになった」という実感がある。この場合、過去問を繰り返す意味はあります。

でも、すでに8割取れているのに、「まだ不安だから」という理由で4周目、5周目を解くのは、自信のためじゃなく不安から逃げるためです。新しい問題に挑戦するのが怖いから、答えを知っている問題を繰り返す。「これなら解ける」という安心を求めている。でも、それは本当の自信じゃありません。

中3生にとって、入試直前期に大事なのは「新しい問題でも対応できる」という自信をつけることです。過去問で8割取れていても、本番では見たことのない問題が出ます。そのとき、「過去問と同じパターンだ」と気づいて解けるか。それとも、「こんな問題見たことない」とパニックになるか。その差は、新しい問題にどれだけ挑戦してきたかで決まります。

過去問を3周して、すでに点数が安定しているなら、次にやるべきことは「応用問題に挑戦する」「苦手な単元の類題を解く」「他の都道府県の過去問を解いてみる」といったことです。同じ問題を4周目、5周目と解くより、ずっと力になります。

それと、過去問を何回解けばいいかに、絶対的な正解はありません。2周で十分な人もいれば、3周必要な人もいる。大事なのは、「何周したか」じゃなくて、「点数が安定して取れているか」です。3周して毎回8割取れているなら、もう十分。逆に、3周しても毎回6割で止まっているなら、繰り返すより、基礎に戻るべきかもしれません。

不安は、誰にでもあります。入試直前になれば、不安が強くなるのは当たり前です。でも、その不安を「過去問をもう1回解く」ことで消そうとするのは、正しい方法じゃありません。不安は消えない。ただ、「自分はやるべきことをやった」と思えれば、不安を抱えたまま本番に臨むことができます。

過去問を解くときは、「なぜ解いているのか」を自分に問いかけてみてください。点数を上げるため? 自信をつけるため? それとも、ただ不安だから? もし答えが「不安だから」なら、一度立ち止まって、他にやるべきことがないか考えてみてください。

当塾では、過去問の使い方も含めて、一人ひとりの状況に合わせた受験対策をサポートしています。不安なときこそ、一緒に次の一手を考えましょう。

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