受験直前期になると、高3生から「過去問をもう一度解くべきか、それとも新しい問題集を買って解くべきか」という相談をよく受けます。志望校の過去問は5年分終わった。でも、もう一度解いても答えを覚えているから意味がない気がする。かといって、新しい問題集に手を出して中途半端になるのも不安。周りを見ると、過去問を何周もしている人もいれば、色々な問題集に手を出している人もいる。どちらが正解なのか、わからない。
この迷いが生まれるのは、「直前期にやるべき勉強」に絶対的な正解があると思ってしまうからです。過去問を繰り返せば合格できる、新しい問題を解けば実力がつく──そんな単純な話ではありません。大事なのは、今の自分に何が足りないのか、それを見極めることです。人によって、やるべきことは違います。
共通テストまで2週間という時期に、高3生が2人相談に来たことがあります。1人は「過去問5年分終わったんですけど、もう一度解いたほうがいいですか」と。もう1人は「過去問5年分終わって、新しい問題集買ったんですけど、これでいいですか」と。同じタイミング、同じ状況なのに、2人に対する私のアドバイスは全く違いました。
1人目の生徒の過去問を見せてもらうと、5年分とも8割前後取れていて、間違えた問題も少ない。「君の場合、もう一度同じ過去問を解くより、間違えた問題だけ見直すほうがいい。新しい問題を解く必要もない。今持っている力を維持して、本番に臨む。それで十分」と伝えました。この生徒は、すでに合格点を取れる力がある。だから、新しいことをする必要はない。今までやってきたことを確認して、自信を持って本番を迎える。それが最善の戦略です。
2人目の生徒の過去問を見ると、5年分とも6割前後で、合格最低点ギリギリ。しかも、間違えている問題のパターンが似ている。「君の場合、過去問をもう一度解くより、弱点の単元を集中的にやったほうがいい。新しい問題集じゃなくて、今持っている参考書の苦手な部分をもう一度。過去問は、本番1週間前にもう1年分解いて、伸びてるか確認しよう」と。この生徒は、まだ合格点に届いていない。だから、過去問を繰り返しても同じミスを繰り返すだけ。弱点を潰すほうが先です。
私は、直前期に過去問を繰り返すべきか、新しい問題を解くべきかは、今の実力で決まると考えています。過去問で安定して合格点が取れているなら、繰り返す必要はない。間違えた問題だけ見直して、あとは維持するだけ。逆に、過去問で合格点に届いていないなら、繰り返し解いても点数は伸びない。弱点を潰すか、その単元の基礎を固めるか、そちらに時間を使うべきです。
ただし、「新しい問題集を買う」という選択は、ほとんどの場合おすすめしません。直前期に新しいものに手を出すと、中途半端になるだけです。今持っている参考書や問題集で十分。むしろ、今まで使ってきたものの中で、やり残しているところや苦手なところを見直すほうが、ずっと効果的です。
それと、過去問を繰り返すときの注意点があります。「答えを覚えているから意味がない」と思うかもしれませんが、実はそうでもない。答えは覚えていても、解き方のプロセスを確認する、時間配分を練習する、という意味では価値があります。ただし、それは「もう一度全部解く」という形じゃなくてもいい。間違えた問題だけ解き直す、解説を読み直す、それで十分なこともあります。
直前期に何をすべきかは、今の自分の実力と志望校までの距離で決まります。合格点に届いているなら、維持する。届いていないなら、弱点を潰す。新しいことを始めるより、今までやってきたことを確認する。シンプルですが、これが一番確実な戦略です。
周りが何をしているかは関係ありません。過去問を10周している人がいても、それが自分に必要かどうかは別の話。自分に必要なことだけをやる。そのほうが、限られた時間を有効に使えます。
当塾では、直前期の学習戦略を一人ひとりの過去問の結果をもとに一緒に考えています。迷ったときは、いつでも相談してください。






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