試験当日、親ができること──「何もしない」が一番難しい

共通テストや入試の前日になると、保護者から「当日、親として何をしてあげればいいですか」という相談をよく受けます。今まで1年間、あるいはもっと長く頑張ってきた子どもが、いよいよ本番を迎える。何か力になりたい、励ましたい、でもプレッシャーをかけたくない──そんな気持ちで、試験当日の朝をどう過ごせばいいのか、迷っている保護者は多いです。

この悩みが生まれるのは、親として「何かしてあげたい」という気持ちが強いからだと思います。せめて「頑張って」と声をかけたい、笑顔で送り出してあげたい、栄養のある朝食を作ってあげたい。でも、それが逆にプレッシャーになるんじゃないか、余計なことを言って機嫌を損ねたら──そんな不安が頭をよぎります。

去年、共通テスト当日の朝、保護者から電話がかかってきたことがありました。「朝ごはんのときに『今日は頑張ってね』って声をかけたら、『わかってるよ』って不機嫌になっちゃって。何も言わないほうがよかったんでしょうか」と。気持ちはよくわかります。でも、試験当日の子どもは、それだけ神経が張り詰めています。普段なら何でもない言葉でも、プレッシャーに感じてしまう。

私は、試験当日に親ができることは「いつも通りでいること」だと考えています。特別な励ましも、特別な朝食も、必要ありません。むしろ、いつもと同じように起きて、いつもと同じように朝食を用意して、いつもと同じように「行ってらっしゃい」と送り出す。それだけで十分です。子どもは、親が普段通りでいてくれることで、「今日も普通の日だ」と思えて、少し落ち着けます。

その保護者には「今日はもう、何も特別なことは言わなくていいと思います。送り出すときも『行ってらっしゃい』だけで。帰ってきたときも、できれば何も聞かないほうがいいです。本人から話してきたら聞く、それくらいで」と伝えました。

試験当日に親が「やってはいけないこと」は、いくつかあります。まず「頑張って」「大丈夫」「リラックスして」といった励ましの言葉。善意からの言葉だとわかっていても、子どもにはプレッシャーになります。次に、朝から「忘れ物ない?」「時計持った?」「受験票は?」と何度も確認すること。前日までに確認していれば、当日は信じて任せる。

それから、試験が終わった後に「どうだった?」「できた?」と聞くこと。これが一番やってはいけないことかもしれません。手応えがなかった子は、聞かれることで余計に落ち込みます。逆に手応えがあった子も、次の科目や次の試験のことを考えているので、話したくない。本人から話してくるまで、何も聞かない。それが一番です。

親として一番辛いのは「何もしない」ことだと思います。でも、何もしないことが、実は一番の支えになる。子どもは、親が普段通りに家にいて、普段通りに過ごしていることで、安心できます。特別扱いされることが、一番のプレッシャーになるんです。

試験当日、親ができることは本当に少ないです。でも、少ないからこそ、その「何もしない」という選択が、子どもにとっては大きな支えになります。信じて、任せて、静かに待つ。それだけで十分です。

当塾では、試験当日の過ごし方も含めて、保護者の方の不安に寄り添いながらサポートしています。迷ったときは、いつでも相談してください。

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