「自分は落ちる」から「自分なら大丈夫」への転換──根拠のない自信じゃなく、積み重ねから生まれる

受験直前期になると「自分は落ちる気がする」という不安を抱える高3生は多いです。過去問を解いても合格最低点ギリギリ、模試の判定もB判定とC判定を行ったり来たり。「このまま本番を迎えて、本当に合格できるのか」──そんな不安が頭から離れない。周りを見ると、自信満々に「絶対受かる」と言っている人もいる。自分もそう思えたらいいのに、どうしても「落ちる」という言葉が頭をよぎる。

この不安が生まれるのは、ある意味当然のことだと思います。受験は合格か不合格、二つに一つ。今まで1年間、あるいはそれ以上頑張ってきたことが、この1日で決まる。不安にならないほうがおかしい。問題は、その不安に飲み込まれて、「どうせ落ちる」と諦めモードになってしまうことです。不安を感じることと、諦めることは違います。

共通テスト1週間前に、高3の生徒が「先生、正直、自分は落ちる気がしてます」と相談に来たことがあります。志望校の過去問は5年分解いたけれど、合格最低点を超えたのは2回だけ。残り3回は5点から10点足りない。「本番でたまたま難しい問題が出たら、もう終わりだと思うんです。自信が持てなくて」と。確かに、過去問の結果だけ見れば、不安になるのも無理はありません。

私は、「自分なら大丈夫」という気持ちは、無理に作るものじゃないと考えています。「ポジティブに考えよう」「自分を信じよう」と頭で思っても、根拠がなければ意味がない。逆に言えば、根拠があれば、自然と「大丈夫かも」と思えるようになります。その根拠は、大きなものじゃなくていい。小さな成功体験の積み重ねで十分です。

その生徒に、過去問の間違えた問題をもう一度見せてもらいました。よく見ると、毎回同じような問題で失点している。「君、この手の問題、苦手だよね。逆に言えば、ここさえクリアすれば10点は上がる。残り1週間、この単元だけ集中的にやってみよう」と提案しました。それから1週間、その単元の類題を解き続けました。

共通テスト前日、その生徒が「先生、過去問もう1年分解いてみたんですけど、合格最低点プラス15点取れました。何か、いけるかもって思えてきました」と報告に来ました。表情が、1週間前とは全く違っていました。「落ちる気がする」から「いけるかも」への転換。それは、根拠のない励ましじゃなく、1週間の努力と結果から生まれたものでした。

心理的な転換が起きるのは、何か一つでも「できた」という実感があるときです。過去問で1点でも多く取れた、苦手だった問題が解けるようになった、英単語のテストで満点が取れた──どんな小さなことでもいい。「自分は少しずつ前に進んでる」と感じられれば、不安は少しずつ消えていきます。逆に、何も変化がないまま時間が過ぎると、「やっぱり自分はダメだ」という気持ちが強くなる。

ただし、無理にポジティブになる必要はありません。本番前日まで「不安だ」と思っていてもいい。大事なのは、その不安と一緒に、「でも、やることはやった」という気持ちも持っていることです。完璧な自信じゃなくていい。「まあ、何とかなるかも」くらいでいい。そのくらいの温度感のほうが、かえって本番で力を発揮できることもあります。

高1・2生の皆さんにも伝えたいことがあります。「自分なら大丈夫」と思える力は、直前期に急に作れるものじゃありません。高1・2のうちから、小さな成功体験を積み重ねておく。定期テストで目標点を超える、英単語テストで満点を取る、苦手だった単元が解けるようになる。そういう小さな「できた」が、2年後の「自分なら大丈夫」につながります。

「自分は落ちる」から「自分なら大丈夫」への転換は、魔法のようには起きません。でも、一つずつ積み重ねていけば、確実に起こります。不安を感じることは悪いことじゃない。ただ、その不安に負けずに、目の前のことをやり続ける。それができれば、いつか必ず「大丈夫かも」と思える瞬間が来ます。

当塾では、受験生一人ひとりの小さな成功体験を大切にしながら、自信を育てるサポートをしています。不安なときこそ、一緒に前に進んでいきましょう。

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