試験後の「どうだった?」──曖昧な返答に、親子とも不確実性に耐える

試験が終わって家に帰ってきた子どもに、親としては「どうだった?」と聞きたくなります。心配で、知りたくて、でも聞いていいのかわからない。聞いたら「まあまあ」「わからない」といった曖昧な返答しか返ってこない。もっと詳しく聞きたいけれど、それ以上聞くと機嫌を損ねそう。結果が出るまでの数日間、親も子も「どうだったのか」という不確実性の中で過ごさなければならない。これが、受験期の親子にとって、最も辛い時間かもしれません。

親が「どうだった?」と聞きたくなるのは、当然のことだと思います。1年間、あるいはそれ以上、子どもが頑張ってきた姿を見てきた。その結果がどうだったのか、知りたい。うまくいったなら一緒に喜びたいし、失敗したなら励ましたい。でも、子どもからは「まあまあ」としか返ってこない。「まあまあって、良かったの? 悪かったの?」と聞きたいけれど、聞けない。

この時期に保護者から電話がかかってきました。「試験から帰ってきて『どうだった?』って聞いたら、『普通』って。それだけなんです。良かったのか悪かったのかわからなくて、不安で仕方ないんです。もう一度聞いたほうがいいでしょうか」と。気持ちは本当によくわかります。でも、私は「もう聞かないほうがいいと思います」と答えました。

子どもが曖昧な返答しかできないのには、いくつか理由があります。1つ目は、本当に手応えがわからないから。試験が終わった直後は、できたのかできなかったのか、自分でも判断できません。問題が難しかったのか、自分ができなかったのか。周りもできていないのか、自分だけできていないのか。自己採点するまで、何とも言えない。

2つ目は、まだ次の試験があるから。共通テストなら2日目がある。私立入試なら、次の受験校がある。国公立入試なら、中期・後期がある。今日の試験のことを考えていると、次に影響する。だから、あえて考えないようにしている。親に詳しく話すと、その記憶が蘇ってしまう。だから「まあまあ」としか言わない。

3つ目は、親に心配かけたくないから。うまくいかなかったと思っても、それを正直に言ったら親が落ち込む。励まされるのもプレッシャーになる。だから、「普通」「まあまあ」と曖昧に答えて、話を終わらせようとする。

私は、試験後の「どうだった?」は、できるだけ聞かないほうがいいと考えています。親の心配はわかります。でも、子どもは試験が終わった直後、一番疲れていて、一番ナーバスになっている。そのタイミングで根掘り葉掘り聞かれると、たとえ善意でも重荷になります。むしろ、何も聞かれないほうが、楽です。

その保護者には「お子さんから話してくるまで、待ってあげてください。自己採点が終わったら、自分から話すかもしれません。それまでは、普通に『お疲れさま』だけで」と伝えました。数日後、「何も聞かないでいたら、自己採点の後、向こうから『思ったより取れなかった』って話してくれました」と報告がありました。

親にとって、不確実性に耐えるのは本当に辛いことです。結果がわからない数日間、何も手につかない。子どもの顔色を見ながら、良かったのか悪かったのか推測しようとする。でも、結局わからない。その不安を、ひたすら抱えるしかない。

子どもも同じです。手応えがわからないまま、結果が出るまで待つしかない。周りの友達が「できた」と言っているのを聞いて、不安になる。親に聞かれて、どう答えていいかわからない。自己採点をするのも怖い。でも、いつかは向き合わなきゃいけない。

試験後から結果が出るまでの数日間は、親子とも不確実性の中で過ごすしかありません。親は「聞きたいけれど聞かない」という我慢をする。子どもは「話したくないけれど心配かけてる」という罪悪感を抱える。どちらも辛いです。でも、この時期はそういうものだと、お互いに受け入れるしかない。

もし子どもから話してきたら、そのときだけ聞く。「思ったよりできなかった」と言われたら、「そうか」と受け止める。励ます必要もないし、落ち込む必要もない。ただ、「そうか」と。それだけで、子どもは少し楽になります。

試験後の「どうだった?」は、聞かない勇気が必要です。親としては辛いけれど、その我慢が、子どもにとっては一番の支えになります。不確実性に耐える。それが、受験期の親子に求められることだと思います。

当塾では、試験後の親子関係の難しさも含めて、保護者の方の不安に寄り添いながらサポートしています。辛いときは、いつでも相談してください。

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